カミハタ養魚グループは人と生き物が共に暮らす環境をトータルに提案します

KAMIHATA探検隊

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text & phot/神畑重三 協力/神畑養魚(株)

+++ Vol.3 +++

世界3番目の大きさを持つボルネオ島は、
珍しい魚、植物、動物の棲む魅惑の島。

この島を訪れたのは今回で5回目。特に、第1回目のチャーター機とボート乗り継ぎ何日もかけて訪れたスーパー・レッドアロワナの世界唯一の生息地メライ湖探索、第4回目の東カリマンタン(インドネシア領)のマハカム河上流のシマヤング湖に棲む世界唯一の淡水イルカ探索は強く印象の残るものだった。

この島は何度訪れても、その都度新しい発見と出会いがある。今回の旅でもまた新たなボルネオ大自然の神秘に出会えたのである。


世界最大級の洞窟の入り口。民家も建っている。

■世界最大級の洞窟の入り口。民家も建っている。

象の群との遭遇

辺りはもう日が陰ってきていたが、川岸にカヌーが1隻接岸していて、漁師たちが何かガヤガヤと騒いでいるので近づいてみると、何と岸辺の草むらに象の群れが水を飲みに来ているのだ。何とかカメラで撮ろうと恐る恐る接岸してみると、10mほど岸に上がった所に、木の間に見え隠れしながら小山のような巨体が5~6頭見える。

バリバリとすさまじい音をたてながら木を倒したり、葉っぱを鼻でしごいて食べたりしている。ツンと鼻を突くような刺激的な臭いが漂ってくる。恐いもの見たさに草むらの陰に隠れて3~4mくらいまで近づくと、小象を連れているらしく、こちらを見て「ファーン」と、象のトランペットと言われるあの甲高い音を出し、鼻を振り上げて威嚇して襲ってくる。慌てて逃げ、ドドッとボートの中へなだれ込んだ。

この島に象がいるとは聞いたこともなかったので意外であった。翌朝、明けると同時に、朝もやの中を昨日の刺し網を引き上げに行ったが、案の定網は影も形もなかった。やはり同業者に盗られたのだろう。

 
帝王ゼミ。名前に恥じない大きな体だ。

■帝王ゼミ。名前に恥じない大きな体だ。

危うくゲリラの住む島へ

鋭い歯をもつハモに良く似た魚。

■鋭い歯をもつ、ハモに良く似た魚。

 

せっかくここまで来たので、河口まで下ってみようということになった。下っていくにつれ、両岸にヤシの木がちらほら見え始めた。これは海が近くなった証拠である。ヤシと塩分には何らかの相互関係があるらしい。河口は入江になっていて前方2~3kmの所にこんもりと縁の木の茂った美しい小島が見えた。そこに上陸して、昼にしようとボートを進めていた。すると水上に建てられた屯所のような建物の所で停船を命じられた。目つきの鋭い4~5人の男たちが「どこへ行くのか?」と聞くので、「目の前のあの島へ行くつもりだ」と言うと、何を馬鹿なことをほざいているのかというような顔をして「あの島はフィリピン領でゲリラの巣窟だ。どこから来たのか」と聞くので、「日本からだ」と答えると「パスポートを見せろ。われわれはポリスではなく国境警備隊だ」と横柄な態度で指図した。

次々といろんなナマズが上がる。光沢のある美しい体色だ。

■次々といろんなナマズが上がる。光沢のある美しい体色だ。

 

あいにくパスポートは、ロッジに置いてきていた。ちょっとまずいかなと思ったが、そのことを言うと顔つきが一段と厳しくなって、パスポートの番号を思い出せと言うので「それは無理だ」と答えた。すると「所持品を見せろ」と、バッグの中をかき回して調べていた。だがその中の一人が「ピストルは持っていないだろうな?」と聞くので、とっさに「イエス、アイ ハブ ア ガン」と一言言って股間を指差す。と、一瞬ギョッとした顔をしたが、このジョークが分かったと見えて男たちは大笑いし、その後一変して和やかな雰囲気になった。

「日本人なら日本の煙草を1本ご馳走してくれないか」とすっかり友好的になってしまった。この警備員に止められなかったら、ノコノコとゲリラの島へ行ったに違いない。それこそ「飛んで火に入る夏の虫」になるところであった。

その後、彼らが「安全だ」という入江の方にボートを進め、そこにある漁師の家に接岸して昼飯の用意をしてもらった。この漁師は半月ほど前の夜中に前の小島に住んでいるフィリピン武装ゲリラに襲われ、有り金を全部盗られてしまったらしい。

 
こんなにも大きなアーチャ―フィッシュも釣れた。

■こんなにも大きなアーチャ―フィッシュも釣れた。


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