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KAMIHATA探検隊

カミハタ探検隊 in MALAYSIA 「国境の川(アル・ポンス)でアロワナ探索の旅」です。
text & photo/神畑重三 協力/神畑養魚(株)

+++ マレーシア/1 Vol.4 +++

「国境の川(アル・ポンス)でアロワナ探索の旅」

インドネシアのスーパーレッド・アロワナは飽きるほど見てきたが、
ゴールデンには一味違う美しさがあり、新鮮な魅力を感じる。
東南アジアで群を抜いて高い経済成長率を誇るマレーシアで、
願わくば、この手でなんとかゴールデンを物にしたいとファイトがたぎってきた。


アロワナ探索の旅を終えて

迎えの漁師が約束に二時間近く遅れて十時前になってやってきた。もはや、みんなのからだはぼろぼろだ。 最後の力をふりしぼって、帰路は両岸に分かれて一時間ほど探索を続けた。 厳重なアーミー・ゲートを抜けて、へとへとになって宿舎にたどり着いたら真夜中の二時を過ぎていた。 日浅がこれからひとりでまた「夜行性の昆虫を探しに行く」と元気いっぱいで出ていったが、 若いということは本当に素晴らしい。

部屋の戸を開けたとたん、ギョー!

真っ白なシーツの上にそれこそゴマを撒いたように羽蟻が群がっている。なまやさしい数ではない。 このままでは寝ることもできず、へばった肉体に鞭打って掃き集めるが、次から次へと際限なく入ってくる。 窓は厳重に閉めたはずなのに、どこから入ってくるのか?調べてみたら、シャワー・ルームの天窓が少し開いていた。 ちょっとした不注意だ。窓を閉めて、羽蟻をやっと掃き出して寝ようとしたら、 こんどは顔や首筋に虫がもそもそ這い上がってくる。とても寝られたものではない。 タオルやシャツをエジプトのミイラのように顔に巻きつけて、完全装束でなんとか虫を撃退し、ようやく眠りについた。 なんとも、いろいろな経験をさせられるものだ。

翌朝、われわれは南下してペナンに向かい、マイケル青年はランブリー名人を村に送り、 クアラルンプールに帰ることになった。マイケル青年とはここでお別れだが、 別れぎわに「ぜひ自分の故郷・ボルネオ島のクチンに来てくれ。友人がクチン市役所の水産課に勤めているので、 イカン・タッパの詳しいデータが集まりしだい送ります。 イカン・タッパは自分の故郷のボルネオ島のクチン(東マレーシア)の山間部の上流にも生息しています。 そこでは捕獲が禁止されていて、一抱えもあるような巨大魚がたくさんいるそうです。 首狩族のイバン族が住む所ですから、普通の人は行けませんが、私の母親がイバン族出身ですから問題ありません。 カミハタさんが行きたいなら連れていってあげます」とウインクして私を誘ってくれた。

そしてまた「今回の旅は自分には初めての経験で、すべてがエキサイティングでしたが、 こんどはぜひイバン族の村に行きましょう。 私が一緒に行けば首をちょん切られることはありませんから」と笑いながら言う。 チョンは彼との別れが名残惜しいらしい。二人は会ったときからフィーリングが合うのか、 十年来の知己のように仲むつまじかった。チョンが「私の息子」と言って可愛がるので、 ドクター・ローがときどき「なぜ、あの二人はあんなに仲がいいのか」と妬くほどだった。

われわれの車がペナンのチュウさんのファームにたどり着いたとき、走行距離のメーターは千二百kmにも達していた。

ナミ湖は軍の厳重な監視下にあり、一般人は入れない。かつてこの地区は共産ゲリラの本拠地でもあった。枯れ木がまるでオブジェクトのようだ

■ナミ湖は軍の厳重な監視下にあり、一般人は入れない。 かつてこの地区は共産ゲリラの本拠地でもあった。 枯れ木がまるでオブジェクトのようだ

 

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