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第2回ボルネオ島 ボルネオ島旅行記〜幻のミミナシオオトカゲを求めて〜

ヘビ類の祖先型である可能性

  • サンビームヘビ

    原始的な特徴を備えたサンビームヘビ。ミミナシオオトカゲは彼らヘビ類の祖先なのだろうか

  • ミミナシオオトカゲは時として“爬虫類の始祖”的なニュアンスで述べられることがあります。これは、アイギアロサウルスやドリコサウルスと共に、本種がヘビ類の起源の一つではないかと考えられているからです。
    ヘビ類の進化過程をめぐっては、研究者の間で長い間議論されてきました。

    ヘビ類の祖先がどういう生活を送っていたか半地中生説や水生説、などがあります。
    最も一般に受け入れられている説は、半地中性だったとする説でしょう。ヘビ類は進化の初期段階において、地面に空いた穴や割れ目を利用して生活しており、その後、地上に戻ったという説です。
     もう一つの水生説ですが、こちらは白亜紀の海成層から発見された、オオトカゲ類かヘビ類かはっきりしない化石種Pachyrhachi sproblematicusは、完全に退化している前脚と、小さな後脚という古いオオトカゲ類の特徴とヘビ類の形質を兼ね備えています。この化石はヘビ類が水の中で進化したことを示唆しています。
    ミミナシオオトカゲは、ヘビ類と同様に耳孔を持ちません。小さな眼には透明の瞼があります。舌は先端が二股に分かれており、ドクトカゲのそれと似ています。手足は小さく、体をくねらせて移動します。現存するミミズトカゲ類ほどではないにしても、吻端を押し付けて穴を掘ることが出来そうです。そしてその生活様式は半地中性とも、半水性とも言われています…。
    まだまだわからないことだらけのミミナシオオトカゲですが、本種はヘビ類の始祖的な存在であると考えられるに足る素質を、充分に備えているといえるでしょう。
    また、モンゴルから出土した白亜紀の絶滅種Cherminotus longifronsという爬虫類が、このミミナシオオトカゲと近縁であると考える研究者がいます。この事からミミナシオオトカゲは「生きた化石」と言えます。

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  • 爬虫類界の聖杯

    ミミナシオオトカゲは世界中に僅かな標本しかなく、特にその骨格は極めて珍しいとされ(標本にする際に、骨が抜き取られている場合が多い)、世界中の研究者が欲しています。
    ミミナシオオトカゲは、他のあらゆる意味において、他の爬虫類とは一線を画する存在であるといえ、爬虫両生類学(ハーペトロジー)において、“聖杯”の異名を持っています。

    極めて得がたい『珍品』であるということはもちろんのこと、『生きた化石』、『1科1属1種』、『進化学上の謎』、『ヘビ類の始祖』、『異様な形態』…研究者や動物好き、ナチュラリストが求める条件を全て満たしているといえます。さらに言えば、過去何十年もの間語り継がれてきた、様々な逸話がそれらをさらに引き立てていることも事実でしょう。


    これまでの発見例

    ミミナシオオトカゲをインターネットで検索すると、10枚ほどの画像が出てきます(標本含む)。それ以外では、海外の図鑑に掲載されている数点、そしてマレーシア政府が発行した、動物保護カード(?)に記載されていた不鮮明な写真程度です。
    過去100年ほどの間に、ミミナシオオトカゲは100例ほどの発見報告があったと言われています。『朝の8時ごろ、洞窟内部の岩肌に張り付いているのが発見された』、『野焼きの際、地面の穴から2匹のミミナシオオトカゲが飛び出してきた』、『地元の漁師が投網で捕らえた』…など様々な報告があります。しかしながら、そのうちのいくつかは(もしくは多くが)同所に生息するミズベトカゲや、他種のトカゲである可能性も否定できません。
    一説では、確実な採集例は12例のみだとも言われています(現在は行方不明の標本もあるそうです)。また、それらの採集例も大洪水の後に報告されたものが多く、本来の生息地から流されてきた可能性が高いと考えられています。もちろん近年になっても、ミミナシオオトカゲの捜索に赴いた方々も少なくありませんが、発見されたという朗報は耳にしていません。

  • ミミナシオオトカゲ同様に記録の少ない珍しい種類は存在する

    ミミナシオオトカゲ同様に記録の少ない珍しい種類は存在する。しかし、ミミナシオオトカゲほど世界が熱狂する“謎”は他にいないだろう

    かつてミミナシオオトカゲが見つかったという河川

    かつてミミナシオオトカゲが見つかったという河川。おそらく大水で流されてきたのだろう

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ミミナシオオトカゲを求めて カリマンタンへ

  • ミミナシオオトカゲが発見されたとされる場所

    この場所も過去にミミナシオオトカゲが発見されたとされる場所だが、現在は開発が進んでいる。ボルネオ、サラワク州にて

  • 私たちは過去にミミナシオオトカゲを求めて、何度もボルネオ島に赴いています。1996年までに記録のある場所(もしくはそれに限りなく近いと思われる場所)には、全て訪れていました。そしてそれらは全てボルネオ島のマレーシア領でした。しかし今回(2012年及び2013年)はこれまでに行ったことのない、インドネシア領カリマンタン西部を調査地に決めました。

カリマンタンの動物たちとミミナシオオトカゲ>>

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